少し前までは、ジャイアントベイトにPEラインを使用するアングラーは少数派でしたが、今ではその有用性とPEラインの性能の向上により、PEラインをタックルセッティングに組み入れるアングラーが増えてきています。
この記事ではPEラインをジャイアントベイトに使用するメリットやデメリットと共に、おすすめのPEラインとショックリーダーもご紹介します。
PEラインとは
PEラインとは、ポリエチレン製の細い原子を複数編み込んだ釣り糸のこと。釣り糸には他にもフロロライン・ナイロンラインがありますが、この2つと比べて直線強度に優れるなどのメリットがあり、バス釣りはもちろん、シーバス釣りや船釣りでも主流となっています。
一方、メリットがたくさんあるPEラインですが、デメリットもあるので注意が必要。次にPEラインのメリット&デメリットを解説していきます。
PEラインのメリット&デメリット
◾比重が水よりも軽いので、水に浮く
水の比重を1とすると、PEラインの比重は約0.98。ちなみにナイロンラインが1.14、フロロラインが1.78です。最近では比重が1.25〜1.43の沈む高比重PEラインもありますが、流通している多くのPEラインは水に浮きます。
これにより、フローティングやサスペンドルアーの位置をキープしやすく、シンキングタイプのルアーは、よりスローに沈められるのがPEラインの特性です。
◾直線強度が高い
細い糸の束を編み込まれた撚り糸なので、高い直線強度を備えています。PEラインは同じ号数(太さ経)のナイロン・フロロラインと比べると、およそ3倍の強度。
よって、より細い糸を使うことが可能で、キャスト時の摩擦抵抗が低減され飛距離が伸びたり、ルアーの操作性が向上するなどのメリットがあります。
◾伸びが少ない
PEラインの特性として押さえておきたいのが伸縮性が低いこと。伸びが少ないので、アタリが分かりやすく、ルアーにキレのあるアクションを加えたり、フッキングのパワーが伝わりやすかったりします。
しかし、衝撃吸収の面においてはデメリットとなり、強い衝撃が加わったときに切れやすいことを意味しています。
◾摩耗(スレ)に弱い
細い糸を編み込んで作られているため、摩耗(スレ)に対して非常に弱く、岩やテトラなど硬いものと接触するとラインに傷が入りやすい傾向があります。
傷に気が付かずに釣りしていると、あっけなく切れてしまうことがあるので注意が必要。PEラインは傷んでくると毛羽立ってくるので、その度合いで交換時期を判断しましょう。
◾結束強度が弱い
PEラインの特性として、表面が滑りやすいため結び目が弱い傾向があります。アイに直結するときや、リーダーと結束するときは注意が必要です。
PEラインはショックリーダーと一緒に使うのがおすすめ
PEラインのメリットとデメリットを見てきましたが、以外とデメリットも多いのが特徴です。そこでPEラインの弱点を補うためにショックリーダーの使用がおすすめ。(例外もあります)
ショックリーダーとは、PEラインの先に結束させて使用する糸のこと。フロロかナイロンラインを60cm〜2m程度を目安に結束するのが一般的です。太さ(号数)はPEラインの2〜6倍位が目安となります。
ショックリーダーはPEの弱点である「耐摩耗性」「低伸度」「結束強度の弱さ」を補ってくれる非常にメリットのあるラインシステム。フロロかナイロンの使い分けは、使用するルアーや、やりたい釣り方に合わせるといいでしょう。
◾結束には摩擦系ノットが◎
PEラインとショックリーダーの結束は、高い強度を誇る摩擦系ノットがおすすめ。「FGノット」や「PRノット」が信頼性の高いノットです。
ただし、摩擦系ノットはある程度の慣れが必要なので、動画などで何度か練習してみましょう。
↓器具を使わずに現場でキレイに編めるのでおすすめです
ジャイアントベイトにおすすめの号数
ジャイアントベイトに使用するPEラインとリーダーの号数はどのくらいの強度のものが必要なのでしょうか。
6oz以上をジャイアントベイトと定義するなら、
- PEライン:5号以上
- リーダー:30〜40lb以上
これが、ひとつの目安となります。ブラックバスよりも大きなターゲットを狙うときや、重量があるジャイアントベイトを使用するときは、これよりも太いラインが必要になります。
PEラインの使用で注意したいこと
◾ラインの喰い込み
PEラインでよくあるのが、根がかり時などラインを強く引っ張った際に、上のラインがスプール内のラインに喰い込むこと。そのまま次のキャストをすると、バックラッシュが起こりやすいので注意が必要です。
◾高切れ
キャストの際、リーダー(ハリス)ではなく、PEライン(道糸)の途中から切れてしまう「高切れ」。これは、経年劣化やバックラッシュ、ガイドやリールの破損箇所によってPEラインに傷が付くことが原因だと言われています。
PEラインの毛羽立ちが目立つようなら、すぐに巻きかえたり、上下を入れ替えたりといった対処が必要です。
PEラインの選び方
◾原糸の素材にも注目
PEラインの原糸の素材も注目したいポイント。「IZANAS®(イザナス)」と「Dyneema(ダイニーマ)」が信頼性が高いと言われています。
どちらも東洋紡とオランダのDSM社が共同開発したもの。パッケージに表記されている商品もあるのでチェックしてみてください。
PEラインのおすすめ
シマノ ハードブル8+
「スペクトラ」という特別な原糸が使用されているシマノの新しいPEラインです。摩耗に対する耐久性に非常に優れており、ハードブルと名乗っているとおりライン自体に硬さがあるのが特徴。硬さはナイロンとフロロの中間くらいと言われいます。「より高感度」、「トラブルの少なさ」、「擦れに強い」PEラインを探している方におすすめです。
よつあみ(YGK)オルトロスWX8P1
超高強力PE1本を高密度WX8本組で締め込み、圧倒的な耐摩耗性、高弾性率、低伸度を実現しているPEラインです。
構造的直進性により、バックラッシュしづらく、キャスタビリティーに優れています。カラーはホワイトで、視認性の良いPEラインを探している方にもおすすめです。
よつあみ(YGK)ロンフォート オッズポート WXP1 8
シーバスビッグベイター衣川真吾氏が愛用しているPEライン。8本編みの芯部分に、超高強力なPEラインが入っており、扁平に潰れることなく真円柱を保ちます。
従来のPEは毛羽だったら要交換でしたが、オッズポートの強度はほぼ中芯によってもたらされているため、中芯が大きくズレたら交換時期となり、交換サイクルが少なくて済むのが魅力です。
バリバス アバニ キャスティングPE SMP[スーパーマックスパワー]
完全8本撚りのSUPER MAX POWER原糸を採用したキャスティングPEラインの最高峰。従来のPEラインに比べて、耐摩耗性能と耐久性が200%アップしています。
さらに直線強度も2ランクアップ。特殊コーティングによる滑らかなフィーリングも魅力です。
Ashconfish PEライン4編
原糸として、高強度ポリエチレン繊維「ダイニーマ」を4本編み上げている高強度、高コスパのPEライン。5号500m巻きタイプが1500円以下と非常にリーズナブルなPEラインです。
安価にもかかわらず、編みムラがなく品質が高いのが魅力。ラインカラー・ホワイトは原糸そのままの色なので視認性が高い上に、色落ちの心配もなくおすすめです。
TORAY ジギングPE パワーゲーム X8
パワーゲームシリーズ独自の8本撚り製法+特殊コーティングによる高強度・低伸度を誇るPEライン。摩擦抵抗が少なく、真円に近づけたラインは巻きやアクションがスムーズに行えます。
視認性が追求された新カラーパターンが採用されたラインは、色落ちがほとんどないのも注目ポイントです。
クレハ シーガー PEX8
シーガーのPEシリーズで最も伸びの少ないグランドマックスPEを採用した8本編みモデル。
国産PEラインとしては、トップクラスのコスパが魅力です。適度なハリがあり、ガイドへのライン絡みなどのトラブルが少ないのが魅力。
強度自体にも問題はなく、交換サイクルに気をつけていれば、かなり使えるPEラインです。
山豊テグス PEタフゲーム
山豊テグスが雷魚やナマズ、ブラックバスのフロッグゲームなどのヘビーな環境を想定して開発したPEライン。高強度素材スーパーPEを100%原糸に使用し、非常に強度に優れています。
ストラクチャー付近でジャイアントを使用することが多いアングラーにおすすめです。
サンライン シューター ステューター
「バス スーパーPEライン」がリニューアルして登場したのが、この「STUTER(ステューター)」です。
エリートツアープロの大森貴洋プロと伊豫部健プロが開発に携わったPEラインで、全規格が8本撚り。表面にはSmooth Surface加工が施されて滑らかさがアップしています。
サンライン ソルティメイト メガスラム×8
「こだわりの道具にはこだわりのラインを」というテーマに完成した、ベイトリールにマッチしたPEライン。低伸度と柔軟性を合わせ持つ素直な糸質に仕上げたことで、キャスティングしやすく太号柄でもルアー操作を邪魔しない唯一無二の風合いを実現しています。
サンヨーナイロン GT-R プレミアムPE
世界最強クラスの原糸を使用した、世界の怪魚を獲るために生まれたGT-RプレミアムPE。8本編みでメイド・イン・ジャパンの信頼性が魅力です。
ノンコーティングで結束強度に優れ、水に浮きやすいのが特徴。雷魚、バス専用と謳われているだけに、対カバーに強いPEラインとなっています。
サンヨーナイロン GT-R ソルトMAXPE
ラインの表面に特殊コーティングを施し、真円に限りなく近づける編み込みを実現したPEライン。マーキング付きで、ラインメンディングしやすくなっています。
4号までは4本撚り、5・6・8号は8本撚りでラインの太さによって撚り数を変えているのもポイント。口コミでも評価の高いPEラインです。
コーティングスプレーのおすすめ
◾「PEにシュッ!」
バリバスのPEライン専用コーティングスプレー。コーティングスプレーでは一番メジャーな商品です。
ラインの表面にフッ素をスプレーすることにより、PEラインの滑りを良くしライントラブルを低減します。また、色落ちを防ぐ効果もあり、ほぼメリットしかないアイテムです。
おすすめショックリーダー(ナイロン)
◾ユニチカ シルバースレッド ショックリーダー
ワイルドルアーズ・@swimbaiter.81氏愛用のショックリーダー。柔らかさと強さを兼ね備えており、摩擦系ノットと相性が良いのが特徴。価格もリーズナブルなので、頻繁にライン交換するジャイアントベイターにとって強い味方になってくれます。
◾バリバス オーシャンレコード
引張強度・耐摩耗性・適度なしなやかさを持つバランスの良いショックリーダー。同号数比でワンランク上の引張強度があるため、ラインを細くできるのも魅力です。
PEラインを使いこなして快適なジャイアントライフを!
PEライン+ショックリーダーは特性を理解して使えば、ジャイアントでこそ威力を発揮するラインシステムです。特にジャイアントベイトをサスペンドで止める釣りには必須。食わず嫌いだった方も一度試してみてはいかがでしょうか。ジャイアントベイトの新たな世界が広がるかもしれませんよ。
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