2018年9月4日に通過した台風21号。猛烈な風と雨で各地に甚大な被害をもたらしました。
関西国際空港の滑走路に海水が入り込み、海の様な状態になった映像には、自然の猛威を感じました。
そして、ここ滋賀県も例外ではなく、台風による低気圧の影響を大きく受けていた場所があったのです。
それは琵琶湖でした。9月8日の京都新聞に興味深い記事があったので紹介したいと思います。
わずか2時間
台風21号が最接近した4日午後、琵琶湖の南湖でわずか2時間の間に水位が約1メートル低下していたことが、7日分かったというものです。
研究者たちは、観測史上最大の強風や台風の低気圧によって琵琶湖の水が北湖へ押し戻されたと分析しています。
国土交通省の観測によると、南湖の琵琶湖疎水入り口にある三保ヶ崎(大津市観音寺)の水位は4日午後2時20分にマイナス25センチでした。その後、水位が下がり始め、午後4時20分にマイナス122センチを記録し、97センチも低下したとしています。
この日最も強い最大瞬間風速は31.3メートルを記録していました。
この原因について琵琶湖博物館の戸田孝専門学芸員は、気圧差と強風が影響した可能性があるとし、台風の低気圧が北湖の水を引っ張る一方、南からの強風が湖水を北へ押し戻したと指摘しています。
それにしても、湖流とは反対の北湖に水が押し出されて、南湖の水位が1メートルも低下するとは驚きですよね。しかも2時間で。
通常の台風なら、低気圧の影響で琵琶湖の水位が数センチ程度上昇することはよくあることです。しかし今回は逆に水位がどんどん下がるという現象が南湖で起こっていたのです。
そして当時は瀬田川洗堰の放流量を操作しておらず、水位変化に影響を与えていないらしいのです。
琵琶湖のスケールの大きさを感じる
一方で南湖の11倍の広さの北湖では水位が上昇。高島市で2時間で26センチ上がってプラス7センチ(午後3時)に、長浜市では23センチ上昇してマイナス3センチ(午後4時50分)になっていました。
国交省によると、1961年の第二室戸台風でも水位が大きく変動し、瀬田川の水が干上がったと伝わっているらしいです。
水の逃げ場がない小さいフィールドでは、このような大きな変化は起こらないので、いかに琵琶湖が大きいフィールドなのか再認識させられます。
過去記事に書いた「琵琶湖の全層循環」でもそうですが、湖の域を超えた現象が起こる琵琶湖。そのスケールの大きさが、琵琶湖に生息する生き物たちを守っているのかも知れません。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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